本気の瞬間を聴く

眠眠打破にとってゆかりのある “その道のプロ”に聴く、3人に突撃インタビュー!

「本気の瞬間」、「勝負の時間」をテーマに3人のプロの本音に迫りました。熱いインタビューをぜひご一読ください。

<ピストン西沢氏>

東京生まれ。大学在学中からクラブDJとして活躍。過去に多くのダンス・ミュージックやリミックスを手がけている。ダンス☆マン&バンド☆マンのリーダーでもあり、モーニング娘。の一連のヒット曲を制作。クルマ&レース好きとしても著名。

※この記事はRBBTodayに公開されました。

J-WAVEのワイドプログラム「GROOVE LINE Z」で週4日、3時間半しゃべり続けるというハードな毎日をキープするためには、本番中に機能性ドリンクを開けるという(ちなみに指定銘柄は「眠眠打破」だそうだ)。ラジオDJ以外にも、車のレースやクラブDJ、ランニングなど、寝る間もないほど好きなことに精力的に取り組んでいる西沢氏のお仕事に対する方法論や、その突き抜けたワークスタイルについてインタビューで明らかにした。

---ラジオDJというお仕事に就かれた経緯を教えてください。

ピストン西沢:そもそも僕は、中学生高校生くらいのときから学校も行かずにずっとギターを弾いていた悪いガキで(笑)、音楽を生業にしたいと思っていたんです。音楽でご飯を食べる方法の1つとして、手っ取り早くお金をもらえる仕事が、クラブDJだったんですね。それに飛びついて音楽でご飯を食べる方法を模索しているうちに、当時放送局の開局ラッシュがあって、J-WAVEも開局したんです。それにどうしても入りたくて。人づてに頼んで入れてもらい、ラジオ番組を作っていたんです。

が、自分が書いたシナリオを人が喋るときの1テンポ2テンポ遅れる感じや、自分が思った通りにならない感じとかがすごく嫌で……。そんなときたまたま「喋ってみれば?」と言われて。今まで文字で書いていたことを自分の口から直接できるようになって、それがそれなりに人気が出るようになり、今に至る、というところですね。

トントン拍子とは言わないですけど、自分のやりたいことに対してはすごく努力しながらやってきた自負があります。ラジオ上のキャラクターとしてはそんな面は出さないですけど、かなり研究熱心にやってきたんですよ。

---そうなんですか。

ピストン西沢:やりましたね。反省と検証の毎日ですね。

---その作業はどんな風にされてたんですか?

ピストン西沢:自分の放送を聴くと自分で滅入っちゃうんで、もうとにかく人との交流の中で面白い会話を探すんです。面白い喋り方するやつ、面白い表現するやつを観察して、面白いことはこうやって体験して、こうやってアウトプットするんだっていう方程式みたいなものを、自分の中でつくるんですよ。そうするとそれがお金をもらえる喋りになる。

僕ね、脳伝達科学の先生に取材を受けたことがあって。面白いらしいんですよ、僕の思考回路が。普通の人よりも展開や単語数、それから目のつけどころがオリジナリティが高いらしい。でも、そういうことっていうのは自分としては昔からできていたつもりはない。それで尋ねてみたんですね、「こういうものは先天的なものなんですか?」と。そしたら「完全に後天的です」と。なので、僕の仕事に対するモチベーションとその学習理論っていうものが成功していたんだろうな、と。改めて自分で「へえ~!」って思いましたね。

---面白い話ですね。

ピストン西沢:たとえば、すごい綺麗な女性と喋ってる、とか、宝くじが当たった、とか、子どもが生まれる、とか、他人からの刺激で人が高揚するような原因があれば、人間はみんな喋るし、そのときには甲状腺が熱を持ってる。そうやって人間の頭に血がたくさん上って、活性化されて言葉がどんどん出て来る。だけど、そんなことっていうのは普通の人にはあんまりないことで、それは興奮状態なわけですよ。

それを僕は毎日3時間半キープしなきゃいけないわけじゃないですか。それをやるために、自分の中で何か面白いことを探して、自分が飽きていることを乗り越えなきゃいけない。僕は自分のすべてに飽きてるんです。毎日3時間半喋ってたら出すもの全部出し尽くしますから。「お前が次言うことは分かってるぞ」ってもう1人の自分が言う。だから、自分が言わないこと、やったことがないことをその3時間半の間探すんです。そこで戦うために、冗談抜きに「眠眠打破」を毎日飲んでるんですよ。

---そうなんですか。

ピストン西沢:放送中ちょっとテンションが落ちて来たときに飲んでます。疲労度がMAXな脳内作業を1日3時間半やるのにはこれがいいんです。あとほかに、自分を上げる材料と言えば、おにぎりですね。頭の中の回転を早くするものと言えば、バナナとかおにぎりとか炭水化物がいいんだって。それで頭に血がいくようにして頭の働きが良くなるようにするといいですよ、と言われてやってみたら効果てきめんでしたね。

---車の活動の方は、どんなことをされているんですか?

ピストン西沢:そもそも車が好きで、レースも好きで、車の運転がうまくなる方法は何かと考えたときに競技が一番早い、ということでレースに出るようになりました。競技って相手と比べるわけですから、フィーリングじゃなくて技術が問われるわけですよ。それから、僕が車に乗っていて楽しいと思うことや、車を乗る人に必要だと僕が思うことを人に啓蒙したいな、と思うようになって。それを広めるためにHPやいろんなところで僕がレースをしていることを公開していると、自動車メーカーやパーツメーカーから協賛金をいただけるようになったんです。

---そんな風に車の活動を成り立たせていたんですね。では、そんな西沢さんの一日のスケジュールを教えていただけますか?

ピストン西沢:バラバラですけど、今日で言うと、朝の7時に起きて、午前中いっぱい仕事の整理をやって、J-WAVEに来て放送やって、このあと今度控えているイベントの打ち合わせをやって、夜10時くらいに帰る、という流れです。これは僕の中ではわりと普通なレベル。ちなみにこの前は、木曜日に午前中富士スピードウェイで車の走行をして、レースの準備をして、土曜日に予選が終わったあと5時に車を飛ばして帰って来て、夜の10時から渋谷のクラブで2時間イベントでDJやって、家に帰ってシャワー浴びて、朝4時くらいに家を出て、朝7時にもてぎ(栃木)に就いて、ホテルで2時間仮眠したあと7時間レースを走りました。それで優勝しました。

---えー! ハードすぎます。お休みはほとんどないようですね?

ピストン西沢:ですね。だからほんとヘットヘトですよ。限界に追い込むんです、つねに。このヘトヘトな状態から生放送をやるんですよ。やっぱりテンションっていうか、生き様っていうか、緊張感を持ってやるっていうのが僕のスタイルなので、安心できる状況はどこにもないっていう状態がいいんですよね。ゴルゴ13状態ですよ。

---じゃあ、たとえばやりたくない仕事、荷が重い仕事があったときにどうやって乗り切っていらっしゃいますか?

ピストン西沢:その状態はやっぱり精神的に負けてる状態ですよね。だから負けない強い気持ちを持つこと。よくあるのが、何かやっちゃったことでクヨクヨしている状態。反省のレベルを越して、ジメジメ引きずってることってあるでしょ。あれはすごい無駄ですよね。反省だけきちんとして、問題点を整理して、失敗しないような準備をしておけば、あとは忘れちゃっていいんですよ。3、4日悩んでる人っているでしょ。そしたら3、4日分ほかのことができたのに作業が遅れちゃうんですよ。だから僕は反省以上のことは絶対しない。

---なるほど。では、チームでお仕事されるときに、反りが合わない人がいたとしたらどういう風に接しますか?

ピストン西沢:極論ですけど、「こういう風にやってください」っていう仕事はもうやらないつもりなんです。「西沢さん、何でも好きにやってください」っていう体制でしか仕事はやらない。そこまで持って来るまでにすごく努力しました。それはある意味恐怖ですよ。要は仕事を選り好みしてるわけじゃないですか。なくなったらどうしようって思うでしょ、普通。

こういう考え方って究極のフリーランスだから、会社員の人からするとすごく突拍子もなく見えるかもしれないけど、自分の能力が高ければすべてにおいてリーダーシップや交渉権を得るっていうのはサラリーマンも同じなんです。会社の中で自分のオリジナリティあるポジションを得て、「あいつがいないとできないよね」っていう風にできるはずなんです。工場で働いているとしたら、ものをつくる技術がとてつもなく高い。広告代理店で働いているとしたら、プランニングする能力と人脈がとてつもなく幅広い。技術者だったら、考える発想がほかの人より圧倒的にすごい、とか。

とくに今の若い人は月並みでいいって思ってるから、周りの顔色伺って、一人で意見言うようなやつがいない。強引だけど自分の能力でねじ伏せて突っ走るような人が90年代はたくさんいたんですよ。

---では、チームでお仕事をするときに結束を高めるためにしていることってありますか?

ピストン西沢:僕はわりと力ずくですからね。僕はラジオの番組をつくることやCDをつくることの中ではつねにトップに立つような努力をしてます。喋らせても音楽を選ばせても企画を考えさせても、すべて僕が一番いいっていう体制をつくっているんで。

そして、僕を追い越そうっていう一生懸命なやつがスタッフにたくさんいると、番組が活性化するんですよ。そうすると僕も追い越されないようにしますよね。そういう力ずくのスタッフのまとめ方が僕は好き。やる気のないやつを転がすような仕事はやりたくないから、こういう仕事をしているんです。だから、事務職や管理職じゃないんだろうね。あくまでも1クリエイターというイメージですよね。

---では、「ここぞ」という「本気の瞬間」に集中力を高めるためにやっていることはあったりされますか?

ピストン西沢:ランニングですね。やっぱり脳に血がいかないとだれるんですよ。自動車レースは心拍数が常時150から170近くで、車の中の温度が47、8°C、ヘルメットにレーシングスーツを着込んで、呼吸を荒げながら2時間走るんですよ。それをやるにはベースとしてランニングや体力づくりが非常に重要。オリンピック選手だったトレーナーにもついてもらってやってるんですよ。どうせなら、世界の一番と比べる。その差を認識することだけでもでかいから。

---西沢さんは悩むことはないんですか?

ピストン西沢:僕、目的が全部はっきりしているんですよ。だから悩んだり迷うことはないです。人生競技だと思っていて、僕の人生の目的は、ほかの人に負けないでいることです。僕より稼いでいるやつはたくさんいるし、僕よりいろんなことを生み出すやつもたくさんいるけど、僕は僕の中で負けないものを探して、負けないっていう気持ちで生きていく。次に大きな山が来るとしたら、体がいうこときかないジジイになって「どーすっかなー」ってときですね。で、そこで戦うために走ってる。そこが一日でも遅くなるように走ってるんです。

2014年8月5日(火) 19時30分 writer 奥 麻里奈